シマトネリコの剪定方法とは?適した時期や注意点などを徹底解説!
住宅の庭木や公園の木として多く親しまれているシマトネリコ。現在の日本の植木業界では、なくてはならない植木のひとつだともいわれており、人気のある植木だということがうかがえます。ご自宅に植えている方も少なくないでしょう。
丈夫で成長がはやいため育てやすいシマトネリコですが、剪定する際にいくつか注意点があるのはご存知でしょうか?こちらではシマトネリコの剪定方法や必要なものなどを解説しております。
お庭の大切な植木をきれいに保ちたい方や、伸び放題になってしまって困っている方の参考になれば幸いです。
目次
シマトネリコとは?
お庭シマトネリコを植えている方でも、どんな植物なのか、どのような特徴をもっているのかを把握できている方はあまり多くないと思われます。みなさまはいかがでしょうか。シマトネリコの剪定方法をお伝えする前に、まずはその性質をチェックしてみましょう。
【シマトネリコの特徴】
シマトネリコは常緑樹と呼ばれることがありますが、正確には半落葉樹と呼ばれる性質をもつ木となります。半落葉樹は季節・気温の変動で葉を落とす性質をもっているため、冬に入ると落葉樹のように一部の葉を落とすうえ、冬以外の時期でも気温に大きい変化があったときは葉を落とします。
【シマトネリコを育てるのに向いている環境】
シマトネリコは丈夫な木ですが、国内では沖縄、国外ではフィリピンやインドが原産の樹木ですので、寒さにはあまり強くありません。そのため国内でシマトネリコを育てるのに適している地域は、関東以西の太平洋側の地域だといわれています。それ以外の寒い地域でシマトネリコを育てるには、剪定する時期に工夫が必要となります。
【シマトネリコは成長がはやいので注意】
シマトネリコは寒さに強くないことを先ほどお伝えしましたが、反対にそれ以外の要素に対しては非常に丈夫です。丈夫で成長がはやいため、すぐに枝や葉を伸ばします。さらに、太めの枝を切るような剪定をしても成長の勢いが落ちることは少ないです。
シマトネリコは10mもの高さに成長することもあるので、定期的な剪定をおこなっていないと大きくなりすぎてしまい、自分で剪定をすることすら難しくなってしまう場合があります。
時期によって剪定の目的が異なります
【春(3月~4月頃)】
シマトネリコは半落葉なので、冬場になるとある程度落葉をし、残った葉の色も変色している場合があります。こういった見た目の悪い葉が付いた枝を春には切り落とします。さらに春は虫の発生する時期でもあります。
虫は枝葉の密集する場所に現れやすいので、春のはやいうちに枝葉の量を減らし風通しをよくしておきましょう。そして、シマトネリコの新芽を狙って現れる害虫を防ぐためにも、あらかじめ殺虫剤を散布しておくとよいでしょう。
【初夏(6月~7月頃)】
暖かい土地原産のシマトネリコは、気温が高くなるとぐんぐんと成長します。そのため、高さを抑えておきたい場合は初夏にもう一度剪定をしておくとよいでしょう。春に一度剪定しているので大丈夫だろう、と放置しているとあっという間に伸びてしまう可能性があります。
ただし、もしシマトネリコの花を見たいと考えている方は注意してください。初夏に剪定をしてしまうと、シマトネリコは花を付けない可能性があるようです。もし花を見たいのであれば、初夏に剪定をするのは避けましょう。
【秋(9~11月頃)】
気温が下がってしまう前に、夏の間に伸びた枝を切っておきましょう。低めに保ちたい方は伸びた分をすべて切り、大きく伸ばしたい方は形を整える程度で問題ありません。冬に入ると成長が止まりますので、その点を考慮した剪定をおこないましょう。
殺虫剤を散布していてたとしても、夏の間に虫に食べられてしまっている枝葉もあるかと思います。そう言った美観を損ねる葉も秋のうちに取り除いておきましょう。
シマトネリコの剪定に必要な道具
シマトネリコの剪定に必要な最低限の道具として、剪定ばさみと癒合材があります。剪定ばさみを用意せずに家庭にあるような普通のはさみで切り落としてしまうと木によくないうえ、効率も悪く最悪の場合自分自身がケガをしてしまいます。正しい道具を揃えてから剪定にのぞみましょう。
【剪定ばさみ】
グリップ部分が手に収まるサイズの剪定ばさみがオススメです。いわゆるガーデニングバサミではなく、片刃の剪定ばさみを選びましょう。大きなものよりは手ごろなものの方が扱いが簡単なうえに収納場所にも困りません。
剪定ばさみで重要なのは扱い方で、汚れたままのはさみで枝を切り落とさないようにしましょう。汚れたはさみで剪定をすると切り口から木の内部に細菌が入り、さまざまな病気の原因となってしまいます。剪定するたびに洗っておき、清潔な状態を保ちましょう。
【癒合剤】
剪定した切り口に塗り、木が切り口をふさぐ作用を促進させる薬剤です。細い枝であれば、塞がるのがはやいため必要のない場合が多いですが、大きな枝などを落とした際には、病気や害虫の発生を防ぐためにも、癒合材を縫っておいたほうがよいでしょう。木の幹の色に合わせた癒合材を使用することで、切り口や薬剤を目立たなくさせることができます。
シマトネリコの剪定の仕方
上の項目でも時期に応じた剪定の仕方をご紹介しましたが、この項目ではすべての時期で共通した剪定の仕方を解説しています。主な剪定方法は以下の3点です。【1.不要な枝を切る】
はじめに、不要な枝を切り落としてスッキリさせましょう。「枯れた枝」「木の下側から出る枝」「下向きの枝」の3点が、主な不要な枝となります。
「枯れた枝」は文字通り、葉が出ておらず乾いたような枝のことです。「木の下側から出る枝」はいわゆる胴吹きと呼ばれるもので、主幹の根に近い部分から生えてきた枝のことです。「下向きの枝」も文字通りで、地面に向かって伸びている枝のことを表します。
【2.高さと形を整える】
不要な枝を切り終えたら、次は高さを抑えて木を理想の大きさにしていきましょう。木を維持したい大きさのイメージができたら、そのイメージに合わせて剪定していくといった流れになります。
この際の枝の切り方ですが、枝が3本に分かれているうちの真ん中の枝を切り落とすと、バランスよく剪定することができるでしょう。大きめの枝を切り落とした際は、癒合材の塗布を忘れずにおこなってください。
【3.量を調節する】
高さや大まかな大きさが定まったら、最後に量を調整しつつ形を整えていきます。まずは交差してしまっている枝を切り落とすだけでも十分スッキリする場合があります。さらに葉の量を減らしたい場合は、左右対称の位置に生えている枝を交互に切り落とすことにより、バランスを保ちながら葉の量を減らすことができます。
シマトネリコの間違った剪定方法
間違った剪定方法でシマトネリコを選定してしまうと、シルエットをきれいに保つことが難しくなってしまいます。これまで以下のような剪定方法をしていた方は、正しい方法に切り替えることで段々とキレイなシルエットにかわっていくかと思われますので、根気よく続けていきましょう。
【冬に強剪定をしてしまった】
上述しましたが、シマトネリコの数少ない弱点のうちのひとつが寒さです。本来は東南アジアなど暖かい地域で育つ樹木ですので、いくら丈夫な木だとはいえ、冬場に強剪定をおこなってしまうと枯らしてしまう可能性があります。強剪定をおこなう時期には注意しましょう。
※強剪定・弱剪定とは
強剪定とは、太い枝を切り落としたり、一度に大量の枝を落としたりすることを表します。反対に弱剪定は、細い枝の身を切り落とすなど、元の樹形を崩さずに剪定をおこなう方法です。
一般的に強剪定は木へのストレスが大きく、丈夫でない木の場合枯れる原因となることもあります。弱剪定は木にストレスを変えずシルエットを維持できますが、生育のはやい木の場合は反対に枝葉を増やしてしまう場合があります。
【弱剪定をしてしまった】
枯れてしまうリスクを回避しようとして、強剪定をおこなわずに弱剪定ばかり続けてしまうと、枝葉が伸びるスピードを抑えることができません。細い枝を切ったところからさらに細かい枝が伸びてしまい、枝が込み合ってキレイなシルエットが失われてしまいます。
【外に向く枝を残してしまった】
シマトネリコを複数株同時に集めて育てる株立ちの状態で外に向く枝を残してしまうと、細い枝の処理が難しくなってしまい、キレイなシルエットを保つことが難しくなってしまいます。これは株立ちが短幹に比べると枝が多くなるために起こる症状で、株立ちでは内側に向いた新芽を残し、外に向く枝は切り落としましょう。
【内側に向く新芽を残してしまった】
内側に伸びた新芽を残したままにしていると幹の近くで枝が伸び、見栄えが悪くなるどころか下の枝をさえぎってしまい、光が当たりません。これはシマトネリコを短幹(1つの株だけ)で育てている状態で起こる症状です。株立ちの場合とは反対に、内側に向いた枝を落としましょう。
シマトネリコの剪定はプロに任せましょう!
ここまででシマトネリコの剪定をご紹介してきましたが、すでに大きくなってしまっている場合など、自力での選定が難しい場合もあるかと思われます。また、長い期間家を空けることになった場合に、せっかく維持していたシマトネリコが伸び放題になってしまう可能性もあるでしょう。
こういったときに頼りになるのが、庭木の剪定をおこなっている業者の存在です。通常の庭木の根入れや剪定はもちろん、年間契約といった形で定期的なお庭のお手入れを任せることもできます。庭木のお手入れに不安のある方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回はシマトネリコの剪定方法の基本と、時期に合わせた剪定の注意点、また間違った剪定方法のご紹介をしました。これからシマトネリコをお庭に植える予定の方や、現在植えている方の中で、、より整った植木にしたいと考えている方の参考になれば幸いです。
ご自身で剪定をするのが難しい場合は、剪定やお庭の管理を受け付けている業者への相談も検討してみてはいかがでしょうか。業者への依頼はなにより自身の手間がかからないことに加えて、道具を揃える費用を抑えられて、確実に正しい剪定をおこなってもらえるなどといったメリットがあります。また、お時間がない方などもぜひご検討下さい。
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