ピラカンサ剪定|巨大化してトゲが脅威になることも!適切なお手入れ

ピラカンサは、白い花や赤い実をつける美しいバラ科の植物です。日当たりや水はけがよい場所なら栽培環境を選ばず育つので、手間のかからない植物として人気があります。しかし、かわいらしい花や実をつける反面すぐに大きくなるため、“剪定”を欠かすことはできません。
また、ピラカンサにはトゲがあるので、大きくなるとそのトゲが脅威となることもあります。トゲでケガをしてしまうこともあるため、生長にあわせてこまめに剪定しなくてはなりません。
そこで今回は、だれでも上手にピラカンサを剪定する方法をご紹介します。このコラムを参考にしていただき、ピラカンサの花や実を存分に楽しみましょう。
目次
ピラカンサを剪定する前に
ピラカンサはすぐに枝を伸ばすので、大胆に剪定をしても問題ありません。ただし、剪定を失敗してしまうと花が咲かなくなるおそれがあるので、最低限の知識は知っておきましょう。ここではまず、ピラカンサを剪定する前に知っておくべき情報をご紹介します。
ピラカンサはおもに3種類ある

“ピラカンサ“とは、トキワサンザシ、タチバナモドキ、カザンデマリなどの総称です。トキワサンザシやカザンデマリは赤い実をつける品種で、タチバナモドキは少し黄みがかったオレンジ色(柿色)の実をつけます。トキワサンザシとカザンデマリはよく似ていて見分けがつきにくいですが、カザンデマリの方が少し小ぶりな実をつけます。
お庭で植物を育てる場合、実の色ひとつで雰囲気もずいぶん変わります。お庭のイメージやデザインにあわせて好みの品種を選ぶとよいでしょう。
剪定のタイミングはいつ?
ピラカンサの基本的な剪定時期は6月~9月といわれていますが、品種によって花や実をつける時期が異なるため剪定時期にもズレがあります。たとえば、柿色の実をつけるタチバナモドキの剪定は3月~4月ごろが最適です。
一般的な赤い実をつけるトキワサンザシの場合、秋には翌年の花芽が形成されていくので、8月までに刈り込みを終えておくのが理想です。しかし、ピラカンサは非常に勢いよく枝葉を伸ばしていくため、伸びてきたと思ったらこまめに整えてあげましょう。放っておくと、樹形が乱れたり害虫が発生したりするおそれもあります。
剪定後の姿をイメージしておこう!
ピラカンサを剪定する目的は、“樹形を整えること”にあります。そのため、剪定後のイメージをすることは“失敗しない剪定”を実現するために大切なポイントになるのです。「こんなふうに丸く刈り込もう」「少し角ばった形にしよう」など、好きな形でよいのでイメージしておきましょう。思い通りの形にできたときの喜びもまた大きくなります。
ピラカンサの剪定方法
続いては、ピラカンサの剪定方法をご紹介します。ピラカンサは、大胆に刈り込んでもすぐにまた枝葉を生やしていきます。剪定に必要な準備をしたら、以下のような手順でぜひ実践してみてください。
ピラカンサ剪定に必要なもの

まずは、剪定に必要なものを準備しましょう。使い慣れたものがよいですが、はじめて剪定をおこなう方は、ホームセンターでお店の方にも相談しながら、ご自身の使いやすい大きさのものを選びましょう。
<準備するもの>
- ノコギリ(太い枝を切るため)
- 刈り込みバサミ(樹形を整えるため)
- 剪定バサミ(細かい箇所の枝葉を切るため)
- 肌を保護できる服装
- ゴム手袋
- 脚立(高所作業の場合)
基本の剪定
ピラカンサの剪定は、勢いよく伸びる枝(徒長枝)を付け根から切り落としていくのが基本です。この徒長枝は樹形を乱すだけではなく、ほかの枝葉や花、実に必要な栄養までも吸収してしまい栄養を分散できず、生長を妨げてしまうおそれもあります。
どの枝を切ればよいかわからないときは、ピラカンサと少し距離をとり遠目から樹形を確認してから、徒長枝や絡み合った枝を剪定していきましょう。また、古い葉や大きな葉は生長の妨げになるので葉刈りしておくとよいです。
ピラカンサの剪定には「こんな形にしなくてはならない」というルールはありません。好きな形に仕立てることができるのも大きな魅力です。好きな形に整えたら、できるだけその形を維持できるように、こまめに不要な枝葉を除去してあげることを欠かさないようにしてください。
花はどこにつきやすいの?
ピラカンサの花や実は、“トゲ状の短い枝”につきやすいです。そのため、剪定時に短い枝を切ってしまうと花や実をつけることができません。花や実付きを楽しみたい方は、短い枝を切り落としてしまわないよう注意しましょう。
剪定以外のお手入れも大切に
剪定以外にも、ピラカンサには大切なお手入れがあります。それほど難しいことはないので、ぜひできることを実践してみましょう。
〇植え付けや植え替え
植え付けや植え替えは、3月~4月か9月~11月におこないます。鉢植えの場合は、生長にあわせてひと回り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。植え替えをしないと根詰まりを起こします。大きくなりすぎた場合は、根を切り落として調整すればコンパクトになります。
〇水やり
お庭でピラカンサを育てる場合は、水やりは必要ありません。極度に気温が高く乾燥しているときは、朝か夕方の比較的涼しい時間帯に水やりをしてください。鉢植えは乾燥しやすいので、生長期である春から秋にかけてたっぷりと水を与えましょう。
〇施肥
ピラカンサは肥料がなくてもぐんぐん生長します。肥料を与えすぎると枝が大きくなりすぎて実付きが悪くなってしまいますので、生育不良や鉢植えの場合のみ、2月~3月ごろに肥料を与えます。肥料は、固形の油かすや緩効性化成肥料が最適です。
〇害虫
春や秋にハマキムシやアブラムシなどの害虫が発生します。害虫被害が見られたら、害虫と発生箇所を除去して消毒など薬剤散布して対処しましょう。
〇さし木
ピラカンサはさし木で増やすことができます。6月~9月ごろ、太めの枝や今年生えた枝の先端を約10センチメートル切り取って1~2時間程度水につけておきましょう(水揚げ)。その後、清潔な土を入れた鉢にさします。水をたっぷり与えて日当たりのよい場所で管理し、根が安定したらお庭に植え替えたり好きな鉢に植え替えたりして楽しむことができます。
ピラカンサの剪定|コツと注意点
ここまで、ピラカンサの剪定の基本をお伝えしましたが、より実付きを楽しみたい方や樹形を美しくしたい方に向けて、さらなる剪定のコツをご紹介します。「ほかの人と差をつけたい!」そんな方は、ぜひ実践してみてください。
花や実をたくさんつけたい!

花や実をたくさんつけたい方は、とにかく“剪定時期”と“剪定する枝”を間違えないことがポイントです。花や実がつく時期はそれぞれ品種によって異なりますが、“花芽ができる約2か月前”を目安に剪定するということを覚えておきましょう。この時期を過ぎてしまうと、花芽の形成に影響がでてしまい、花の開花や実付きが悪くなるので要注意です。
樹形を整えたい!コンパクトに維持したい!
花や実付きよりも樹形の維持を重視する方は、冬にも剪定することをおすすめします。冬の剪定は花付きが悪くなるおそれがありますが、樹形を整えたりコンパクトにしたりするときには最適です。
また、庭木よりも生垣や垣根としてピラカンサを楽しみたい方は、1年目の剪定で強く刈り込んで細かい枝を出させておきます。その後、1年おきに徒長枝を整える程度に剪定すればきれいな樹形を維持できます。
柿色の実をつける品種を育てるときは注意!
タチバナモドキなど柿色の実をつける品種は、開花直後の6月ごろに翌年の花芽が枝のなかで生長をはじめます。しかし、赤い実をつけるトキワサンザシは10月ごろに翌年の花芽を形成します。
このように、一般的な赤い実をつける品種と柿色の実をつける品種とでは、開花や結実の時期だけではなく、花芽形成のタイミングも少し異なっているのです。そのため、同じ剪定では花や実がつきにくくなってしまうこともあります。
花や実がつきにくいといっても枝はどんどん育つので、剪定を欠かすことはできません。そのため、柿色の実をつける品種でも、大きくなってきたら徒長枝を切り落とすという基本の剪定方法は変わらずおこないます。
ただし、柿色の実をつける品種にたくさん花や実をつけたい方は、大きく育って樹形が整うまで開花後に強く刈り込みをおこない、樹木全体の枝の量を増やすことを心がけましょう。すると、はじめの1~2年は花や実がつかないですが、3年目以降の花や実付きがよくなります。樹形がしっかりしてきたら、枝の先端を切って樹形をきれいに整えてあげるようにしましょう。
剪定が終わったら
無事、剪定が終わったら後片付けまできちんとおこないましょう。ピラカンサの枝は、トゲがあるので刺さらないように注意してください。安全のため、ほかの植物と同じ時期に剪定する場合は、ほかの植物の枝と混じらないようにしておくと安心です。ビニール袋にまとめて可燃ごみとして処理できますが、詳しい処理方法は必ず事前にお住まいの自治体のルールを確認しておきましょう。
まとめ
ピラカンサは、初心者でも比較的栽培が簡単で、深い緑の葉と白い花や鮮やかな実のコントラストを楽しむことができる魅力的な植物です。その反面、生長スピードが早く四方八方に枝を伸ばすため剪定を欠かすことはできません。
しかし、ここまでご紹介した剪定方法や注意点を守り実践すれば、美しい実をつけるピラカンサを長年楽しむことができるでしょう。
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